YouTuberというレッドオーシャン
昨今自宅で過ごす時間が長くなり、YouTubeを視聴する機会が増えた人も多いと思います。
古参YouTuberにとってはチャンスではありますが、新規参入は決してそうとはいえない状況を体感しました。
というのも、昔に比べてYouTubeがシステム的に厳しくなったという話は聞いていたので、実験を兼ねて先月1ヶ月間連続で適当な動画投稿をしていました。
結果だけ言えば、投稿できる動画のシステム的な著作権の範囲と、有人検閲の範囲は10年前と比べるととても厳しくなっていました。
また一ヶ月で20人程度しか登録者も出来ず、適当なあり物の動画投稿で再生数と登録者数をいっている人は、何がしかの工作をしている事も分かって来ました。
また再生回数が増えても、Googleの懐事情の影響で収入源となる広告は大幅減となっています。
現在は少し戻りましたが、4,5月は収入4割減という状況だったそうです。
人気YouTuberとなれば、企業とのタイアップやグッズ販売でかなりの収入を得ることができますが、チャンネル登録者数が1000人以上、再生回数10万回程度の底辺YouTuberの月収はせいぜい5000円から1万円程度にしかなりません。
今では億単位の収入を得たり、タレントとしても活躍するYouTuberもいますが、草分けの1人であるHIKAKINが、勤めていたスーパーマーケットを辞めて動画投稿1本で生活するようになったのは8年前のことです。
YouTubeだけで生活していくためには、そこそこの質を何年も投稿し続ける積み重ねが必要です。
チャンネル登録者数と実績を重ね、1再生あたり0.01円の収益がようやく0.3円くらいまでになるわけです。
1つの動画の編集に数時間かけて、クオリティーを維持し続けなくてはいけないので、タレントさんが転身しても簡単には単価は上がりません。
数年前のデータだと、上位3%のユーチューバーが全再生回数の90%を占める寡占化と、テレビタレントと放送業界政策関係者の転身も進み、新規参入はかなり難しくなって来ました。
最近よくいる事件を起こす迷惑系と言われる人たちも、最初は普通の映像を流していたりします。
当然、再生回数は上がりません。再生数目当てで投稿した過激な映像が回数を稼ぎエスカレートしていきます。
文章に比べて動画は読解力理解力がなくても閲覧できるため、低年齢の子どもほど食い付きがいいのもYouTubeの特徴です。
2019年の調査で、子どもを対象とした子どもが出演する動画は、他の動画と比べると視聴回数が4倍だったそうです。
昨年、世界でもっとも稼ぐYouTuberとなったのは、アメリカのライアン・カジ君で、28億円を稼ぎました。
アメリカでは多くの子ども向けの動画で保護者の同意なしに子どもの個人情報を収集していたことが問題となり、YouTubeとサービスを提供しているGoogleは、子ども向けに分類した動画に関しては「ターゲットを絞った広告」の表示を中止しました。
動画サイトは最初期は大体のところで無法地帯です。
しかしプラットフォームとして力を付けるに従って規約を変えていきます。細かいものを入れれば30回以上の改訂がありましたし、システム的には独善的に厳しくそしてナルシシズム的にバカになっていきました。
だから今まで問題なかったものが突然ダメになったりします。
YouTuberという職業にはキャリアという概念が存在しませんでしたが、目立ちたいとか、金もうけがしたいだけという人にもお勧めできなくなりつつあります。
やりたいのであれば、新しいジャンルを開拓する他なく、本気でやる強い意志があるならアイディアをこさえて、まず周囲に話してみて反応を伺った方がいいでしょう。
方法論で言えば、新しいプラットフォームにいち早く目を付けるのも1つの手です。TikTokにうまく乗った若い女性がCMや広告に起用されたりしました。そうやって横展開していくという方法もあります。
これという一芸の持ち主、そして先行者利益ということです。